稽古日誌 2014
72歳 入門11年目
3月26日 819日 合気上げは座った状態でも腰を意識して使う、腰から相手の肩に向けて気を通す
座り技「合気上げ」:『軸を立て、腕の付け根に向けて小手を伸ばすだけでは技にはならない』。では、どうするか?
丹田からではなく、『座った状態でも腰を意識して使う。腰から相手の肩に向けて気を通す』。腰を意識して使うとは何か。小手だけではなく、腰を意識して使うことで、身体全体を使う意ではないかと思う。
「合気上げ」を行うときに『相手の体(手)を挙げよう思ってはいけない』。なぜか、『挙げようとする気が障碍になってぶつかりを生じる(2010.4)』。挙げようとか、崩そうとのとする意識が体の筋肉の張になり、力みになる。『小手は上に挙げるだけでは、受けの腕は上がらない。掴んでいる受けの掌と接点が変化するから挙がるのだ(2011.6)』
一教正面打ち:掴んだ肘も、交差した手刀も、真っ直ぐ伸ばす私の「一教正面打ち」は、『掴んだ肘を上げている』と指摘される。上げるのではなく、右正面打ちには右手刀で受け、『掴んだ左肘も、交差した右手刀も、真っ直ぐ伸ばす』
4月9日 821日 剣術:接点からの崩しは接点・中心を動かさない
剣術「斬り返し」:打ち込まれた剣を受け、剣を立てて入り身に入る時に、接点が動いてしまうことが多い。なぜ、剣を立てる時に接点が動くのか。基本的には『受けた右手の掴みがガチガチだから右手で押してしまう。柔らかく剣がぶれない、触る程度の掴みが必要(2009.10)』。あるいは『打ち込みを受けた位置が高いと、接点が高くなり動かしにくいので、自分で柄を下げてしまう(2010.04)』。さらに『打ち込まれた剣を物打ちで受けると、接点(交点)を軸として剣を廻す(立てる)ので、柄が胸前になる。しかし、剣の鍔に近い位置では、剣を廻しても柄が目の位置になるので、斬り込みなどはできない(2010.7)』。物打ちで受けろと教わっていても、恐怖感(物打ちでは相手の力で押しこまれる不安など)があるので、鍔に近い位置で受けてしまう。
接点からの崩しは、先生から常時指摘を受けていたが、接点・中心を動かさないことを稽古の中で自覚するようになり、柔らかな?み(押し込まない)、気の継続(気を抜かない)、接点の変化(剣に乗せる)など、集中力を欠かさない動きができるようになり、技の効果が出るようになった。剣術を始めて10年目、だいぶ時間が掛かったが基本技の「斬り返し」が形になってきたようだ。
ただ、合わせた剣を強く持つ人には掛からなかった。斬り込んだ剣が途中で停まってしまうのだ。『強い力で競り合う人には剣を立てるだけでは斬り込めない。繋がる感覚が必要( 2009.10 ) 』とか『体が固い人にはやや力が必要(2010.11)』とも教わっている。そこで、力が強く身体が固いC さんとの稽古時、「小太刀」の稽古を思い出し、打ち込んだ相手の剣を受け、接点から相手の剣に乗せ、中心を維持し、緩みながら気を通し続け、抜くように動いてみた。
4月23日 825日 片手取り二教は、掴んだ小手を中心ではなく、相手の肩に向ける
6月4日 832日 剣は垂直に立て、前後左右に傾けない
剣術「斬り返し」:相手から打ち込まれた剣を受けたとき、『剣は垂直に立て、前後左右に傾けない』。改めて先生から打ち込まれた剣を受け、垂直に立てたところ、『いや垂直になっていない、曲がっているから鏡を見よう』と道場の鏡の前で確認する。私の剣先は左右には傾斜していない。『いや左右ではない前後だ』。鏡を見ると、確かに受けた剣先が先生側に傾いていた。垂直とは左右の傾斜だけ注意していただけで前後の傾きは意識していなかった。
8月6日 843 日 掌を上にして交差取りされたとき、指を立て指先は真っすぐ伸ばす
「手解き」:掌を上にして掴まれたときの対応。7月に稽古をしていたが、忘れてしまったので再度稽古。まず、『指を立てること』。掌を上にした右手を交差取りされたら、手首を動かさず、親指を左に廻して矢筈にし、相手の手首に当てる。『指先を真っ直ぐ伸ばし』中心・肩から相手の左肩側に入る。交差取りしている小手の反対側に入る。
8月30日 847日 小手返し:肩が抜ける方向へ開いて崩す
自主稽古時にB さんと「小手返し」を稽古する。受けを取った私の右小手をB さんが甲側から?み、両手に力を入れて手首を折るようにする。手首が痛いだけだ。「力が入り過ぎ」と伝えると、力みは無くなったがそれでも掛からない。B さんの説明では、「崩し方は肩を開き手首を崩す」と言うが、実際の動作は、先に手首を折り(極め)肩を開こうとしている。
数回試みたが同じだ。そこで、先に肩を開き、それから手首の崩しに変えたらと伝え、あとは肩を抜く方向を、何通りか変えてB さんが試みたところ、小手返しが掛かった。先生と同じような掛だと感じた。
B さんに逆の動きを薦めたのは、崩し方を分かっていて言ったわけではない。私自身は、小手返しは肩を開くとの意識はあっても、稽古の中では行っていなかった。稽古を繰り返しているうちに、手首を崩して肩を開くでは掛からないがから、逆にすれば好いのでは、との単純な発想でしかない。
今度は私が試みる。B さんの右小手を掴み、右肩を左方向へほんの僅か開き、手首を斬り下げる。柔らかく力まずに。すると、ぶつかりが無く崩せる。『小手返しは繋がりがすべて(2010.9)』と教わっていた繋がりも今日は旨く出来たようだ。
初めての体験で、肩を抜く方向の迷い、小手の?みの柔らかさ不足などあるだろうが、肩を抜き崩すことが実践できた今日の収穫は大きい。帰りの車中で考えてみたこと。「固めた拳崩し」にも使えるのではないかと。
10月4日 857日 片手取り両手持ち呼吸投げ:掴まれた小手を相手の顎に向ける
掴まれた小手を相手の顎に向けて崩し、右足を大きく引いて居合腰、掴まれた小手を後方へ抜き、反転して「つ」の字を描くように小手を下げ、前方へ小手を返す。崩しの要点は『掴まれた小手を腕の付け根ではなく顎に向ける』。顎に向けた小手をタイミング良く抜く。速くもなく遅くもなくとなるが、抜くポイントは慣れるしかないようだ。抜いて「つ」の字を書くようにと教わるが、これは文字通り掴まれた小手を上から抜き、下に方向を変えて受けに向けると相手は後方へ投げ飛ばす。座り技でも基本は同じ。
10月11日 859日 交差取り二教:肩だけでなく、肘への掛かりが必要
石川先生が他の参加者へ「交差取り二教」の指導を観ていると、掴んだ小手を手前に僅かに抜いている、私には以前とは変化した動きに観えた。そこで、A さんとの稽古時、先生の抜いた動きと、従来の動きの二通りを試してみた。A さんは「最初の動きが好い」と言う。僅かに抜いた動きだった。抵抗感が少なく、柔らかく崩せる。
私の交差取り二教は、『肩だけの掛かりで、肘への掛かりがない』、と日頃から先生に指摘を受けているが、先日の同門者との稽古でも、しっかりと私の小手を押さえている相手に技を掛けると、痛いと言われていた。その時も先生から『強引な力技だ。肘への掛かりがないからだ』。今日試してみた僅かに抜いた動きが、次回の稽古で同門者の反応が楽しみになった。
11月1日 863日 入り身と抜きは同時に行う
『入り身と抜きは同時に行う。全ての技は、入り身が生じて抜きに入る』。例えば、「片手取り転換」は相手に対応すること自体が入り身である。剣術においても、相手の剣を受けることが入り身であり、抜き(崩し)に入る。
12月10日 873日 掴まれた小手の接点は微動だにしない
相手から小手を?まれる。?んでいる相手の手と?まれ手首の接点は、技を掛ける時に少しでも動かすと相手に察知されるので、『掴まれた小手の接点は微動だにしない』。接点を動かさないは、合気道の技が掛かるかどうかの大事な基本。実例としては、「手解き・上」の稽古で『?まれた手首は動かさず、胸・中丹田を緩めた瞬間に指先を真っ直ぐ上に挙げる(2005.5)』。あるいは「後ろ両手取り・四方投げ」の稽古では、?まれた両手を外すことが出来ず、先生から『腕が先に(接点が)動くからだめだ。それでは掛からない(2007.6)』
?んでいる相手の小手を外す、崩すには、接点を動かさずに技を掛けることが必要になるが、「接点を動かさない」は簡単なようで難しい。同門者同士の稽古では、経験を積んでいる人が受けのとき、掌から伝わる微妙な感触で、?んでいる初級クラス(取り)の僅かな動き(外そう、崩そうとして接点が動く)が分かるので、接点が動くと技が掛からないと伝えることがある。接点は多少動いても崩すことが出来るが、それは腕力であり、柔術的な力技。
止められた人は、接点が動いていると言われても、自分では動かしている気が無いから、掛からない原因は接点の動きとは思わない。動かしていない、との思い込みが多いのではないか(私もそうだった)。止められて悩み、注意されて訂正を繰り返して、接点を動かさない重要性を学ぶことになるが、あとは本人の自覚と、稽古量・経験を重ね、接点は動かさない意志。