(一社)楽心館 氣と丹田の合気道会

2001年
11月6日

活動趣旨

石川 智広

活動の趣旨

20世紀の日本の社会は、過剰な産業化と、帝国主義から民主主義への急激な変化によって、日本人本来の清廉、礼節が消えて久しいと思います。今、絶え間ない戦争・地球環境の問題から、世界全体が循環型社会への脱皮、世界市民としての深い自覚を迫られています。

発展の時代、人類は急ぎすぎ、あわてていました。日々の生活の中に愛を感じたり、与えることの大切さを忘れていました。

こうした社会情勢の中、1990年、楽心館を設立しましたが、その目的は、日本の伝統文化である武道の保存・活用・創造であり、そこから「人の道」を学ぶことにあります。

  • 保存とは、今日の合気道から欠落しつつある和合の理・呼吸力の養成法を
    • 体:全身の丹田化・全身力
    • 技:氣の伝達感覚の養成
    • 心:和の精神

     を一般化し、だれでも会得できるように指導することです。

  • 活用とは、和合の理・呼吸力の養成を通して、平和・才能教育を試みることです。
  • 創造とは、世界和楽(植芝先生の言葉、ほぼ世界平和の意)の創造であることです。

人の道とは、できることは「やる」、できないことは「やらない」、しかし問題が起きれば責任をとることです。四季の移ろいを見れば美しいと思い、家族の年輪が増えるのを楽しみ、そう感じる自分自身や人様を大切にできることです。人とぶつかった時は、「ごめんなさい、お先にどうぞ」と挨拶できることです。そんな素直な心のままにものを言い、言うままに行う道のことです。

楽心館には「道友の誓い」というのが定められています。

  • 一、人を利用しない。
  • 一、人を当てにしない。
  • 一、人に恩を着せない。
  • 一、人を責めない。

しかしこの「あたりまえ」が、なかなかできません。

美意識を受け止める受け皿としての身体。まずこの可能性を、氣を養い丹を練り、最大限伸ばすことからはじめましょう。

とかく「美しき生きる」というとき、観念的なものに片寄りがちではないでしょうか。美意識とともに、身体的実践・経済的実践の三位一体でありたいと思います。そうあってはじめて、「優しさの循環」が起こせるのではないでしょうか。

 

活動の2つの柱

活動の柱は、合気武道の価値を伝える啓蒙活動と、世界和楽を生活の中から実現するための情報収集・提供の二本からなります。

前者には、各地域での稽古活動・審査会・研究会などの開催があります。「氣と丹田の合気道」を中心とし、青少年の平和・才能教育とともに指導者の育成をしています。楽心館各道場にて稽古に参加できます。

後者にはこのウェブサイトの公開・演武会の開催・講習会があります。

また本部には職員が常駐し、合気やお子様の教育に関する相談に応じます。

以上、楽心館は、和氣あいあいとした活動をしています。

 

活動方針

楽心館が提供する稽古環境は、合気道の基本である「呼吸力・和合の理の養成」を遵守するという、あたりまえのことを実現することなのです。できればその上に、出来るだけ安いコストで・楽しい教育活動をしたいと思います。

楽心館は、会員数300と数十名の小さな研究・実践機関に過ぎません。しかし、小さいからこそ絶対に妥協できないのです。なぜなら、稽古環境の品質に妥協すると、一氣に会員様の信頼を失って存在価値がなくなってしまうからです。常に変革し、学びつづけることに妥協しません。そして小さいからこそ、会員様一人ひとりのために気配りができるという強みもあるのです。

楽心館は、美しく新鮮な方向へ向かっていきながら、誠実であることが大切です。楽心館は大量生産する工場でも、ビジネス組織でもありません。教育活動は一大事ですが、「~先生」と呼ばれるのは好きではありません。一職人みたいなものでありつづけたいと思います。

楽心館は、合気道の平和・才能教育の側面を地域社会の共有財産ととらえ、人々の喜びや不安を共有できる機関を目指します。具体的にはインターネットによる情報提供により、合気愛好家の技術レベルや意識レベルの向上に大きく貢献できる機関を目指します。

合気道の運動文化の向上は、その指導現場に携わる人々の倫理観・責任感の向上によって、成し遂げられるものと考えます。

2001年11月6日 石川智広