稽古再開2022~
プロフィールブログ
熱しやすく冷めやすい私が見つけた、心の強さを育む道
夢を追いかけた少年時代の挫折と逃げの選択
幼稚園から中学生まで夢中になったサッカー「将来はプロになる」と本気で思っていたし、厳しい練習にも食らいついており合気道も中学で行かなくなっていました。
高校時代、細身の筋肉量の少ない自分に厳しい練習が合わなかったのか「シンスプリント」に苦しめられた。(日常生活は痛くないが,小走りし始めると強い鈍痛がふくらはぎに走る。止めるとトタンに痛みが治まる。)病院に行っても休むしかないと言われるが、若い自分に友達が頑張っているのに休むという選択は取れず、練習しようとしても結局走れない、そんな中途半端な状態で悪循環に陥っていた。
大学受験が近づくにつれ、「大学受験に向けて勉強しなければいけない」
そう自分に言い訳をして途中退部した。本当はただ、友人にも相談できず逃げたかっただけであった。この時の挫折から、何かに没頭しては中途半端に終わる、そんなパターンが私の人生に刻まれていったのかもしれない。
――受験勉強も結局中途半端で夏に決まった大学に入学することとなる。
自分と向き合い、人生の選択に迷った時
私が看護師になろうと決めたのは、祖父母の存在が大きかった。
「立派な看護師になりたい」と強く思い、大学時代には何か国も海外研修に参加して看護師としての志をさらに高めていた。
そんな中、脱サラして不動産会社を立ち上げた30歳の男性と出会った。毎晩酒を飲み続けて彼はこんな言葉を私にかけてくれた。(未成年の自分はうたた寝しながら夜が明けるまで話を聴いていた。)
「行動しろ。自分の感情に嘘をつくな、とにかく動き続けろ」
熱い人だった。殻を破ることができない自分に彼は毎日激励してくれた
「――人生は一度きりで、やりたいことを後回しにしてはいけない。」
当時大学2年生 看護師という道を前にして、心の中で葛藤が生まれ始めた瞬間だった。
「本当に自分がやりたいことは何なのか?」
帰国後、私は良くも悪くも様々なことに手を出した。
後輩の面倒を見て、学会の代表になったり、大学生としてできることは何でもやった。大学外でも活動に励むと詐欺に巻き込まれそうになったり大学職員の方に止めて頂くこともありました。
懸命に過ごした大学生活でしたが、心の中の迷いは消えず、卒業直前に「看護師にはなりたくない」と家族に伝えたこともあります。そのとき、父から言われた一言が胸に刺さり今でも残っています。
「お前は合氣道もサッカーも受験も看護師も、何一つ成し遂げていない。」
逃げ続けてきた過去 そのすべてを見透かされたような気がしました。
看護師から武道家へ、人生の再スタート
私は年齢相応の悩みを抱えながらも無事看護師となり、一生懸命働きました。5年目には業務改善で賞金を頂く評価もしていただき仕事は楽しかったですが、将来の自分を思い描くことができませんでした。5年間で父以上に尊敬できる大人との出会いがなかったことも、私の迷いの一因でした。一通り仕事を覚え、結果も出せたので一度看護師を離れる決意をしました。命の現場で親孝行をしようと改めて思ったからです。親孝行は道場を継ぐこと以外なにも思いつきませんでした。
12年ほど稽古をしていませんでしが、私は看護師を辞め、武道家としての道を再び歩み始めました。今では専業武道家として道場「楽心館」で、合氣道の指導にあたっています。
自分と向き合い、心を整える稽古
道場に戻り、合氣道の稽古を再開したとき、最初は身体も動かず、技もまったく思い出せませんでした。しかし、そこには「誰かと競う必要のない世界」が広がっていました。他人ではなく“自分自身”と向き合う――それが稽古の本質だと気づいたのです。
医療の現場では常に「正解」が求められ、ミスは許されません。しかし、合氣道は「よりよい自分」へと磨き続ける世界です。稽古は力任せでは通用せず、焦れば焦るほど結果は遠のいてしまう。だからこそ、心を整え、冷静に自分と向き合うことが必要です。そうして努力を積み重ねることで、技の上達に繋がり、自分自身の成長も感じられるようになりました。
争いを避け、強くも優しい自分へ
合氣道には試合がなく、競う相手はあくまで「自分自身」です。稽古の中でイライラや不安を感じることもありますが、それこそが成長のきっかけになります。自分の心と体を磨き、昨日より今日、今日より明日と少しずつ前進すること――その積み重ねが、自分を強くしてくれるのです。
辛い瞬間や思うように進まないときもありますが、それらが乗り越えた先の成長へと繋がります。合氣道を通じて養われた「心の強さ」は、日常生活でも活かされ、豊かな人生を支える大切な要素となってくれるはずです
楽心館の合氣道は、技も心を育てる
――強くも優しい自分へと導くお手伝いをさせていただきます。
2024/12/19 石川 蓮太朗